第24回CODHセミナー
カメラアプリ「メモリーグラフ」によるフィールドワークの展開〜地域文化資源、観光、防災、人文学研究への利用事例〜

概要

メモリーグラフ」は、同一構図撮影を支援するカメラアプリです。このアプリにより、今昔写真、ビフォーアフター写真、定点観測写真、聖地巡礼写真のように複数の写真を重ねて撮影し、他者と共有することが簡単になりました。一方、アプリの豊富な機能を知るだけでは、フィールドワークやプロジェクトでの具体的な活用方法が想像しづらいという課題もありました。そこで本セミナーは、地域文化資源、観光、防災、人文学研究などの様々な分野における利用事例を題材に、アプリの豊富な機能が実際にどのような場面で役立つのかをご紹介します。

本セミナーはハイブリッド方式で開催しますが、最後のオンサイト体験会は会場のみの開催です。実際にアプリを体験したい方、講演者と直接お話したい方は、ぜひご来場ください。

なお、メモリーグラフは、iOS版とAndroid版を無料で配布しています。ただしプロジェクト作成機能のみ、利用は申請者に限定しています。

基本情報

日時 2025年7月7日(月) 13:30-17:30
会場 国立情報学研究所12階会議室 / オンライン(Zoom)
参加費 無料
ただし事前登録をお願いします。
言語 日本語
共催
  1. 文部科学省「人文学・社会科学のDX化に向けた研究開発推進事業」
  2. 歴史ビッグデータ:史料とデータ駆動型モデルを結合する分野横断型研究基盤の構築(研究代表者 北本 朝展)
  3. シルクロード探検隊撮影古写真の時空間照合による新旧考古情報の統合(研究代表者 西村 陽子)

プログラム

13:00 開場
13:30-14:00 メモリーグラフ:同一構図撮影支援アプリによるフィールドワークの可能性 北本 朝展(ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター/国立情報学研究所)
14:00-14:30 地域の記憶をたどる景観学習の実践:今昔写真による町並み変化の体験的理解 髙橋 彰(大阪大学D3センター)
14:30-15:00 観光における実証実験ースマホで古写真ハンティングー 姫野 順一(長崎大学名誉教授)、松田 恵(グラバー園学芸員)
15:00-15:15 休憩
15:15-15:45 津波被災地における景観変化の記録と共有:メモリーグラフを活用した住民参加型アーカイブの取り組み 西 芳実(京都大学東南アジア地域研究研究所)
15:45-16:15 シルクロード踏査におけるメモリーグラフの効果:日中欧国際協力のケーススタディ 西村 陽子(東洋大学文学部・大学院文学研究科)
16:15-17:00 質疑応答・ディスカッション
17:00-17:30 オンサイト体験会

発表概要

「メモリーグラフ」は同一構図撮影を支援するカメラアプリであり、今昔写真、ビフォーアフター写真、定点観測写真、聖地巡礼写真など、複数の写真を重ねて撮影するための豊富な機能を備えている。本講演では、アプリの基本的な機能から高度な機能までを概観することで、アプリの全体像をイメージできるようにしたい。さらに、写真のデジタルアーカイブを外に持ち出し、フィールドワークに活用していくことの意義と今後の可能性を論じる。

  1. 「メモリーグラフ」公式サイト

本発表では、メモリーグラフを活用し、過去の景観写真と現在の町並みを同一構図で比較撮影する体験を通じた地域学習の実践事例を、京都市と飛騨市を対象に紹介する。

コロナ前の2017年から19年にかけて、長崎バージョンとして開発したアンドロイド仕様の「長崎古写真ハンティング」を用いた諏訪神社および外国人居留地での観光利用の実証実験の成果について報告する。またI-phone仕様に進化した汎用的な「メモリーグラフ」を用いて本年実施した、グラバー園における街歩きイベントつき、不特定の人が集まりアプリを使用することで見えるメリット・デメリットを報告する。

  1. 「古写真☆ハンティング」

2004年インド洋津波で甚大な被害を受けたインドネシア・アチェ州において、スマホアプリ「メモリーグラフ」を活用し、住民主体で津波被災地の景観変化を記録・共有する取り組みを実施した。地域研究者が蓄積してきた津波前後の景観画像をアプリに組み込み、現地の研究・教育機関や公文書館と連携して、ワークショップや技術研修、マニュアル作成を行った。さらに、津波被災20周年に合わせて「アチェ津波メモリーグラフ・コンテスト」を開催し、住民による記録と応募を通じた災害経験の可視化と記憶の継承を試みた。住民参加型のアーカイブ実践を通じた記録と継承の意義、データの共同管理・運用の課題と可能性、そして官学民連携による景観資料活用の展望について報告する。

  1. 西芳実准教授らが進める災害の記憶の継承の取り組みが主要メディアで紹介されました

2023年以降、シルクロード遺跡の現地踏査においてメモリーグラフを使用した。出発前に当日の調査範囲にあるはずの遺跡写真を整理してメモリーグラフに登録し、新旧比較写真の撮影を目指した。その結果、完全に一致する写真を撮影することで成果が見えやすくなり、画像を用いた研究が進展するとともに、使ってみたことによっていくつかの課題も見えてきた。

  1. シルクロード デジタルマップ

参加登録

下記のフォームに必要事項をご記入ください。 オンラインセミナーのリンクは、当日の午前にメールでお送りします。

申込期限:7月6日(日)

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